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管理人: 新谷
ブログ愛読者の皆さん、こんにちは。今日まで皆さんに支えられ、ブログ掲載もスムーズになり、また充実してきたと思っています。これからも、皆さんを楽しませる記事を掲載していきます。ご期待下さい!

第11回民友新聞掲載 平成28年3月26日朝刊(掲載許可済) 

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 ・福島市
   福島大学名誉教授
   日本木球連盟会長
   国際木球連盟副会長
        新 谷 崇 一 氏




         今年も楽しみな朝市が
                                 新 谷 崇 一

 ウオーキングによる発見や出合いはこの随想で何度か紹介したが、朝市との出会いもその一つである。
 ウオーキングコースの途中で昨年3月、ログハウス風の建物の入口に「今年の朝市は3月14日(土)からはじめます」という貼り紙があった。どのような朝市か楽しみであったが、その日に限ってウオーキングはできず、出合いは翌週までお預けとなった。その朝市は利用者でいっぱいで、いろいろな野菜が所狭しと置いてあった。一番おどろいたのは一束(袋)100円からである。新鮮な野菜で、しかもこの量で100円からとは信じ難い値段。
 先月、この中沢直売会の代表で、福島市松川町在住の渡邉良美さんにいろいろお聞きすることができた。渡邉さんは55歳で退職し、親戚などとこの朝市を開始し、いまでは13〜15人の仲間と直売している。スタートしてから14年近くになるが、一番苦労したのは売り上げも順調に伸びてきた時に起きた原発事故。事故前は多いときで、1日に80人くらいの利用者があった。事故後の3カ月間は閉鎖していたが、再開直後の利用者はゼロ。いまでは5割強ほどまでに回復している。
 昨年は旬の時に採りたての、新鮮で美味しいものをたくさん食べさせていただいた。春から初夏にかけてはサヤエンドウ、タマネギ、春キャベツ、キューリ、インゲンなど。夏から9月にかけてはピーマン、ナス、トマトなどに加えて果物。秋から冬にかけてはキャベツ、ブロッコリー、サツマイモ、白菜、大根、人参、ゴボウ、青菜類など。
 朝市は安い、新鮮が売りであるが、渡邉さんたちが作る野菜はそれに加えて甘いのが特徴。この中沢地区の土壌は粘土質で、そこに、2㌧車12台分の堆肥を混ぜるので、さらに甘くなるという。その渡邉さんの悩みは後継者探し。85歳を筆頭に、68歳の渡邉さんが一番若い。最初は趣味でいいから、若い人に入って欲しいと語る渡邉さんだが、現実は厳しいようである。
 帰りに、渡邉さんご自慢の芽キャベツとケールを交配させたプチヴェールという珍しい野菜をお土産にいただいた。今年は3月19日の初売りにはじまり、毎週土曜日の6時半から10時までオープンしている。今年も、12月の最終日に振る舞われる美味しい芋煮と、もち米入りのおにぎりを楽しみに通い続けたい。


 2年間のシリーズで、21回目の「みんゆう随想」が2016年3月26日(土)に最後の随想として掲載されました。ご愛読いただきまして、有り難うございました。
 この随想を冊子にまとめます。出来上がりましたら皆さんに配付したいと考えておりますので、楽しみにしておいていただければと思います。




第10回民友新聞掲載 平成28年2月20日朝刊(掲載許可済) 

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 ・福島市
   福島大学名誉教授
   日本木球連盟会長
   国際木球連盟副会長
        新 谷 崇 一 氏




         生涯スポーツの”ススメ” ②
                                 新 谷 崇 一

 継続は力なりと簡単にいうが、何事においてもそう簡単に継続はできない。生涯スポーツにおいても、長い人生の中で年齢に応じたライフステージがあり、継続してスポーツを生活の中に取り入れるのは難しい。②では日常生活の中に、どうしたらスポーツを継続して取入れることができるかについて考えてみたい。
 平成24年度実施の文部科学省の調査によると、「成人の週1回以上、運動・スポーツを行う者」の割合は全体で47・5%であった。オーストラリアでは69・5%(15歳以上)、ニュージーランドでは79%(16歳以上)と日本に比べ、はるかに高い。オーストラリアやニュージーランドではガーデニングも運動に入れている。カナダは、運動はスポーツだけでなく、散歩や掃除、家事も含めている。日本と運動のとらえ方が違う。
 2月5日、郡山市で「生涯スポーツ・体力つくり全国会議2016」が開催され、伊達市役所健幸都市づくり課の長沢弘美さんが「健幸ポイント事業の取組み」について報告した。これは「健幸ポイントプロジェクト」というもので、平成26年度より3年間、スポーツ庁などの支援を受けて実施している。事業は歩く、健康運動教室、ウオーキング教室などで健康づくりを実践。歩数や参加点をポイント化し、貯まったポイントを商品券などに変換し、地元で利用する。このサイクルは健康づくりのきっかけとなり、地域消費の推進にもつながる。一石二鳥という仕組みである。
 さて、本題の生涯スポーツの継続であるが、継続にはまず発想の転換が必要と考える。運動はスポーツだけでなく、庭いじり、掃除、移動などすべてが対象。スポーツと改まるから、堅苦しくなり、取りかかりも躊躇し、継続も厳しくなる。
また、生涯スポーツを地域全体のものとしてとらえ、伊達市のように行政の支援を得て、地域ぐるみでムードを高めて実践していくのも一つの手ではないか。
 これからは、運動はスポーツのみという考えから、趣味としての庭いじりなども対象とし、生涯スポーツを「生涯運動」と改めてはいかがか。そうすると、生涯スポーツの受止め方が広がり、スポーツだけが先行せず、対象の幅が増え、継続しやすくなるのでは。
 しかし、スポーツの「楽しさ」を、一生に1度だけでも、味わってほしい。



第9回民友新聞掲載 平成28年1月16日朝刊(掲載許可済) 

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 ・福島市
   福島大学名誉教授
   日本木球連盟会長
   国際木球連盟副会長
        新 谷 崇 一 氏




         生涯スポーツの”ススメ” ①
                                 新 谷 崇 一

 2014年8月28日付のみんゆう随想に「スポーツのススメ」を書いた。このススメではスポーツの「楽しさ」について述べた。今回の「生涯スポーツのススメ」では生涯にわたって、継続してスポーツを行うことのススメである。①では生涯スポーツの解釈について考えてみたい。
 生涯スポーツの定義には緒論がある。ここでは鹿屋体育大学の川西正志教授らがいう「生涯にわたる各ライフステージにおいて、生活の質(Q O L )が向上するように自分自身のライフスタイルに適した運動・スポーツを継続して楽しむこと」と、とらえておく。
 ある小学校の体育の授業で、「今日は年をとったら生涯スポーツとして行うために、ゲートボールの授業をします」と先生がいうと、子どもたちはワーイ!とよろこんだ。待てよ。生涯スポーツのために小学校でゲートボールの授業? なんとなく違和感を覚える。
 文部科学省の学習指導要領の体育の目標には「適切な運動の経験を通して、生涯にわたって運動に親しむ資質や能力の基礎を育てるとともに、体力の向上を図り、楽しく明るい生活を営む態度を育てる(一部略)」とある。ゲートボールがいけないといっているのではない。もっと、小学生に適したスポーツがあるはずである。もし、ゲートボールを教材として取り入れるなら、生涯スポーツのためにではなく、世代間交流を図るために取り入れるがふさわしいのではないか。 
 また、生涯スポーツと聞くと、軽スポーツやニュースポーツとイコールにとらえられがちである。生涯スポーツは決して軽スポーツやニュースポーツばかりではない。陸上競技のマスターズやリタイアしてからのラグビーなどのように、ハードなものが山ほどある。軽スポーツ、ニュースポーツ、ハードなスポーツも継続して楽しむのが生涯スポーツというものである。
 そして、スポーツは「ねばならない」というものではない。生涯スポーツも行わなければならないという強制的なものではない。スポーツを行うと、その楽しさを味わうことができ、生活にハリが出て、適度に行えば健康増進につながり、行わないと体力の低下をもたらす。まさに、「ルーの法則」に則ったようなものが生涯スポーツである。
 次回はどうしたら、継続できるかを考えてみたい。 

          
第8回民友新聞掲載 平成27年12月10日朝刊(掲載許可済) 

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 ・福島市
   福島大学名誉教授
   日本木球連盟会長
   国際木球連盟副会長
        新 谷 崇 一 氏




         スポーツを行う権利とは?
                                 新 谷 崇 一


 2011年6月に制定されたスポーツ基本法の前文と2条で「スポーツを通じて幸福で豊かな生活を営むことは、全ての人々の権利」と明記し、「権利としてのスポーツ」を謳っている。
 この基本法は1961年6月に制定されたスポーツ振興法を50年ぶりに全面改正したものである。振興法ではスポーツの定義は定めたが、スポーツ権については記載がない。逆に、基本法ではスポーツの定義は定めていない。2010年11月、中国で行われた第16回アジア競技大会に、頭脳で競うスポーツ種目として、囲碁やチェスが入った。スポーツの定義は一義的ではなく、身体を動かすだけがスポーツと定義できる時代ではないからである。
 スポーツ権が国際的に承認されたのは1978年11月のユネスコ総会で採択された「体育およびスポーツに関する国際憲章(仮訳)」まで遡る。1条で「体育・スポーツの実践は、すべての人にとって基本的人権である」と謳われている。スポーツ権は国際的には、すでに人間が所有している基本的人権の1つと認識されていたのである。
 それでは、スポーツ権は私たちの生活と、どうかかわるのであろうか。基本法3条では国の責務、4条では地方公共団体の責務について謳っている。
 たとえば、東日本大震災により、体育館などの多くのスポーツ施設が避難所や支援物資の倉庫に、学校の校庭、野球場やサッカー場は瓦礫置き場や仮設住宅の建設地となった。被災後の緊急対応策としてはやむを得ない措置であるが、スポーツを行う場の回復や確保のために、私たちには国や地方公共団体に対して、整備をすみやかに進め、その責務を果たしていくように要求する権利がある。スポーツを行う場を要求する権利は、スポーツ権が日本国憲法の幸福追求権や生存権などの基本的人権から導き出されているからである。さらに、私たちのスポーツを行う権利は、あらゆる人の根源的な欲求に基づいているからである。
 今年の10月1日にスポーツ庁が設置された。目的はスポーツを行える多様な場の創出、スポーツを通じた地域おこしへの支援など。まるでスポーツ基本法を実施するためにできたかのようである。当面は2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催に目が向けられるであろうが‥。



第7回民友新聞掲載 平成27年11月5日朝刊(掲載許可済) 

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 ・福島市
   福島大学名誉教授
   日本木球連盟会長
   国際木球連盟副会長
        新 谷 崇 一 氏




         今年の新米の味は?
                                 新 谷 崇 一


  昨年からはじめたウオーキングも、この11月で1年が過ぎた。途中で挫折するのではないかと内心、不安であった。継続できた理由はいろいろあるが、肌で感じる四季の移り変わりもその1つである。
 新年を迎えたころには見えなかった回りの景色に目を向ける余裕ができ、自然の変化も感じ取れるようになった。最初の楽しみは桜である。つぼみが膨らみはじめ、ピンクに染まると、一気に開花する。目を楽しませてくれるのはソメイヨシノ、しだれ桜、そして八重桜。あまりの美しさに、つい立ち止まってしまう。 この四季の移り変わりのなかで一番長いつきあいをしたのが稲である。5月の田植えからはじまり、10月の稲刈りまでつきあった。福島市田沢在住の丹治正弘さんから、いろいろお聞きした。稲作は豊作を祈願する1月11日の「農の初め」からはじまり、4月末からの田起こし、代掻き、そして田植えの流れで進む。
 整然と植えられた苗に、一番神経を使うのは水の管理だそうだ。寒さ対策には一定の水量が必要である。丹治さんは毎日のように足を運び、水量に気を配る。もちろん、定期的な雑草取り、農薬散布、肥料散布と手間をかける。毎日見ている稲であるが、その成育の早さには驚いてしまう。
 9月はじめには水抜きをし、稲刈りに備える。現在はコンバインで稲刈りと脱穀を行う。しかし、日本の田園風景に見られる、稲刈り後の天日干しも行われている。東北地方独特の、みの虫のように積み重ねる「ほんにょ(穂仁王)」と呼ばれる干し方。丹治さんたちは「杭みょう」という。天日干しは2〜3週間行うが、この間、みょう返しが行われる。稲を裏返しにして、まんべんなく乾燥させる。重労働である。
 スズメ対策も重要な作業となる。一度、味をしめた田んぼには毎回、飛来するらしい。そこでいち早く、田んぼにカカシ糸を張り、スズメよけを行う。とくに、大好きなもち米には防鳥ネットを張る。スズメは集団でその防鳥ネットの上にとまり、スズメの重みでたるんだ所の稲穂を食べるらしい。スズメも賢い。
 田植えから稲刈りまでつきあった稲も、今では新米として店頭に並んでいるであろう。今年の新米は自分がかかわったような気がして、いつもよりおいしそうな感じがする。




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